株の価格って、会社の業績によって高くなったり低くなったりするイメージがありませんか?
でも株を始めてみると感じるのは、ある会社の業績が良くてもあんまり株の価格は上がらなかったり、特に大きな理由もないのに価格が上下したりすることです。
考えてみれば、会社の業績が変わったわけでもないのに、株がこんなに動くのってどうしてなのでしょうか?
今回は株を始めるうえで最初にしっておくべき、株価が会社の業績発表前に動く理由について解説していきます。
なるべく実感をもっていただけるように、具体例を出しながら説明していきますね。
はじめに株を買う理由ってなに?
最初に株を買う理由から考えてみます。
株を買うそもそもの目的は「利益を得るため」になると思います。
ここで株を通じて利益を出す方法は次の2つがあります。
- 配当(+株主優待)で利益を得る方法 = インカムゲイン
- 株を安く買って高く売ることで利益を得る方法 = キャピタルゲイン
インカムゲイン・キャピタルゲインを大きく望めるのはどんな会社になるでしょうか?
次の株式会社のイメージで説明します。
株式会社は、株主から出資をしてもらったお金をもとに、ビジネスで利益を上げて、利益を株主に還元することが求められます。
上の図でいえば、2億円の利益をもとにして、ビジネスの拡大(青字)と配当(赤字)にあてています。
ビジネスが拡大し、会社の利益がより大きくなれば、会社の魅力が上がって株価は上昇する傾向で、配当も大きくできる傾向となります。
このため、株を買う株主の目線からすると、会社の利益が大きく、ビジネスが堅調であるほど利益を得られやすいと考えられます。
そうすると会社が出す利益・業績だけを見ていれば株価は一緒に動くように思えますが、実際には良い業績の発表があっても株価が動かなかったり、噂だけで株価が動いたりすることがあります。
これはなぜなのでしょうか?
キャピタルゲインを狙う人は、"予想"で買うようになる
先ほど株で利益を出すには2つの方法があるとお伝えしました。
そのうちキャピタルゲイン=株の値上がりによる利益を得たい場合には、株が安いときに買って高いときに売らないといけません。
では株が安いときとはどんなときになるでしょうか?
株を高値でも買いたいという人が増える≒株を欲しがる人が増えると、株価が上がる傾向があります。
そうすると、みんなが株を欲しがる前に株を買って、欲しがる時に株を売れば利益が出そうですね。
※株価の決まり方を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください!
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【初心者向け】株価の決まり方をわかりやすく解説!
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これはどんなときか、具体例を挙げて解説していきますね!
貿易会社の例で考える
東インド会社のような貿易会社のたとえ話でお話しします。
この会社は船で貿易を行っていて、海外の国から香辛料を輸入するビジネスを行っています。
ある1年間で次のようなことが起こりました。
- (1月)会社が新しく船を作っているという噂がたちました。
去年の利益が1億円なのに対して、船が増えると貿易量も増えて今年の利益が2億円になるという噂です。 - (4月)実際に船が完成したことが発表されました。
噂の通り船を作っていたようで、今年の利益は2億円の予想になりました。 - (10月)新しい船の貿易も成功して、期待通りの香辛料を輸入できたそうです。
- (12月)国内の香辛料のニーズも例年通りで、予想通り今年の利益が2億円になりました。
とても単純ですが、このようにして今年1月の株価が10万円で、12月の株価が20万円に上がったとします。
さてキャピタルゲイン=株の値上がり益を狙う人たちは、いつこの会社の株を買うでしょうか?
先ほどの話の通り、株価はみんなが欲しがるときに上がる傾向があります。
そうすると株の値上がり益を狙うなら、「みんなが欲しがる前に」株を買っておくことが重要ですね。
上の例でいえば、1.噂が立ったときか、2.船の完成が発表されたタイミングには株を買いたくなりそうですね。
おそらく今年の4月の船完成発表のタイミングでは、キャピタルゲインを狙った人の多くが株を欲しがることになります。
すると「2.船の完成が発表されたタイミング」で、本当は会社の利益があがると確定していないのにキャピタルゲインを狙う人の行動によって株価は上がってきます。
※この人たちは、新しい船ができてもビジネスが失敗する場合のリスクを引き受けて、リスクプレミアムを得る形です。
「3.貿易が成功したタイミング」では、多くの人は「今年の利益が高いのがほぼ確実」と思うことでしょう。
このタイミングでは、株価はほとんど上がりきっていることが多いです。
そうしていざ「4.業績発表のタイミング」には、すっかり株価は上がりきってしまっていて、昨年の2倍の利益発表をしたのに株価はほとんど動きませんでした。
ここで上げたのはとても単純なたとえ話ですが、このようにキャピタルゲインを考えると"予想"で株を買うようになります。
予想で株を買う人が多いと何が起こる?
先ほどの例のように予想で株を買う人が多いのは、今の株式市場でも同じです。
むしろ今の方が会社の業績予想がより正確に出されるようになっているので、予想をもとに株価が動く傾向が強いと言えます。
ここで予想で株を買う人が多くなると起きることをお話しします。
1つ目は、予想に反する結果が出ると株価が動く、ということです。
先ほどの例で、もし「3.新しい船での貿易が思い通りにいかず」、今年の業績が去年に対して1.5倍になったとするとどうなるでしょうか?
キャピタルゲインを狙う人は、業績が2倍になることを見込んで株を買っています。
そうして買われた株の株価も、業績が2倍になることを見込んだ金額になっています。
しかし今年の業績が去年に対して1.5倍になることが分かれば、業績が1.5倍の場合の株価に修正されることになります。
すると今年の業績が去年に対して1.5倍に良くなっているのに、「予想した2倍の業績よりも悪い」という理由で株価が下がることになります。
これが業績が良くても株価が動くとは限らない理由になります。
2つ目は、みんなの株価の予想を見越して株を買う、ということです。
株をみんなが欲しがれば基本的に株価は上がります。
すると会社の業績が伴っていない場合でも、株をみんなが欲しがれば株価は上がる、ことになります。
フローで説明しますと、もともとはこういう考えでした。
- ①会社の業績が良い⇒②株を欲しがる人が増える⇒③株価が上がる
②株を欲しがる人が増える理由になりさえすれば、①は"会社の業績が良い"以外の理由でもよいことになります。
例えば景気動向、業績予想、政治情勢、心理的な影響も株価に影響します。
例えば株価は1日のうちでも価格の上下を繰り返していますが、そのチャートをみて株の短期的な動向を分析する手法=テクニカル分析があります。
その短期間では会社の業績や景気動向の影響は一定とみてよいと思いますので、これは大部分が人の心理影響によって動くものと考えることもできます。
市場に”織り込まれてる”ってどういうこと?
ときどき、「織り込み済み」という表現が出ることがあります。
これは株価に影響を与える事柄が、実際にその事柄が起きる前に株価に反映された状態のことを言います。
先ほどの例でいえば、「船を新しく作るという噂がたったら、船が完成して利益が上がる前に株価が上がっちゃう」ということがそれにあたります。
実際には船が新しく完成し、売り上げや利益がアップするまでは、会社の業績が上がったり配当が増えたりするのは決定しません。
けれども「新しい船の期待」から株価は先に上がってしまって、会社の今年の業績が発表されたタイミングでは株価はあまり変わらないことが起きます。
この場合は、「この会社の新規投資(新しい船への投資)は、株価に織り込み済み」なんて表現がされます。
まとめ
以上をまとめると次の通りです。
ポイント
- 株で利益を得る方法はインカムゲイン・キャピタルゲインの2つがある
- キャピタルゲインを狙うと"予想"で株価が動くようになる
- 予想に反する結果がでると株価に影響する
- 会社の業績以外の政治情勢や心理的な影響でも株価は動く
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