分散投資というワード、投資をはじめるときよく耳にしますよね。
でも、「分散投資をするとリスクが下がるのはなんとなくわかるけど、いまいち実感がわかない・・・」
そんな方もいらっしゃるかと思います。
それに分散投資するとどんなメリット・デメリットを実感できないと、実際に投資を始める勇気が出てこないですよね。
そこでこの記事では、分散投資にはどんな種類があるのか、どんなメリット・デメリットがあるのか、具体例を挙げてわかりやすく解説していきます。
図を使って見た目にもわかりやすくお話ししますので、ぜひ読んでみてくださいね。
そもそも分散投資ってどんなもの?
最初に分散投資とは、どんな投資を指すのでしょうか?
イメージはそれでOKです!
その「いろんなもの」がどういうものか、どうしていろんなものに投資するといいのか、というのがポイントになってきます。
また投資のタイミングも重要になってきます。
分散のさせ方は、大きく次の2種類があります。
- 投資先を分散させる(どの株を買うか、どの国を選ぶかなど)
- 投資のタイミングを分散させる
投資先を分散させる
投資をすると一口に言っても、投資をする先にはいろいろあります。
その投資先をわけるとき、いくつかの切り口で分け方を決めることができます。
分け方はいろんな考え方がありますが、次の4つの切り口で考えることが多いです。
- 銘柄
- セクター
- 地域
- 資産
これらは具体的な例で解説すると実感がわくと思いますので、一つずつ丁寧に解説していきます。
イメージのしやすい株の例でお話ししますね。
株で考えてみる分散投資:①銘柄の分散
はじめに"銘柄"というのは、"1つ1つの株の名前"のことを言います。
銘柄の分散は、1つの株だけじゃなく、いろんな株に投資することと捉えればOKです!
次のようなA~E社の5つ会社の株があった場合を考えてみます。
※本物の株は必ず利益が出ることは約束されていないので、注意してくださいね。
A~E社は昔の東インド会社のように貿易をする会社です。
とても単純な例ですが、今は10万円の株がビジネスが成功したときに15万円になって、失敗したとき5万円になるとします。
もし投資できるお金を50万円もっていた場合、どの会社の株を買うでしょうか?
いろいろな選び方があると思いますが、次の2通りの場合を考えてみます。
- A社~E社の株を10万円ずつ買うとき(分散投資の例)
- どれか1社の株を50万円買うとき(集中投資の例)
A~E社の株を10万円ずつ買うとき(分散投資の例)
まずはA社~E社の株を10万円ずつ買った時を考えてみましょう。
各社のビジネスの結果は次の通りでした。
A社~C社はビジネスに成功しましたが、D社とE社は失敗してしまいました。
そうすると1年後の株価は、A~C社は15万円に値上がりしますが、D社とE社は5万円に値下がりしてしまいます。
A社~E社の株を10万円ずつ買っていたときは、合計で次の通りの金額になります。
1年後の株の金額が55万円になるので、投資した50万円に対して5万円の利益を得られることになります。
少し細かく見ると、株を買っている5社のうち2社はビジネスに失敗して10万円の損を出しています。
でも全体としてみると、ほかの3社で出ている15万円の利益の方が大きいので、トータルで5万円の利益になっているんですね。
このように1つの会社に集中して投資するのではなく、いろんな会社の株に分散させて買っておくのが「銘柄を分散させる」ということになります。
買った株のうちいくつかの価格が下がっても、全体として利益を出すイメージですね。
どれか1社の株を50万円買うとき(集中投資の例)
次にどれか1社の株を50万円だけ買うときを考えてみます。
各社が成功したか失敗したかは、先ほどと同じこととします。
もし運悪くE社の株だけを50万円買った場合はどうなるでしょうか?
1年後の株の金額が25万円になるので、投資した50万円に対して25万円の損失になってしまいます。
1社にかけて投資をした場合に、運が悪いと大きな損失を出してしまうこともある、ということの例と思ってください。
一方でA社の株だけを50万円買った場合はどうなるでしょうか?
1年後の株の金額が75万円になるので、投資した50万円に対して25万円の利益を得られることになります。
今度は運が良いときには大きな利益を得られることもある、ということの例と思ってください。
分散投資と集中投資を比べると・・?
ここで紹介した分散投資について、少し細かく見ると、株を買っている5社のうち2社はビジネスに失敗して10万円の損を出しています。
でも全体としてみると、ほかの3社で出ている15万円の利益の方が大きいので、トータルで5万円の利益になっているんですね。
どれか1つの会社の株だけでなく、5つの会社に分散して投資していることになりますね。
このように分散投資をすると、大きな損失をするリスクを小さくすることができます。
株で考えてみる分散投資:セクターの分散
はじめに"セクター"というのは、"株を分類するグループ・ジャンル"のことを言います。
セクターの分散は、貿易会社・メーカーといった1つのジャンルの株だけでなく、いろんなジャンルに投資することと捉えればOKです!
先ほどと同じような例として、次のA~E社の株を考えてみましょう
実際の株ではビジネスが成功する確率も、1年後の株価もわかりませんのでこの例では成功確率だけ"?"としてみました。
A~E社は先ほどと同様に貿易をする会社です。
10万円の株が、ビジネスが成功したときに15万円になって、失敗したとき5万円になるとします。
すると今度はビジネスの結果が次の通りになりました。
今回はA社はビジネスに成功しましたが、B~E社は失敗してしまいました。
実はA~E社はどの会社も海外から農作物を輸入するビジネスを行っていました。
しかし今年は異常気象で不作となってしまい、輸入する農作物の価格が高くなってしまいました。
価格が上がってしまったので、買ってくれる人も少なくなり、A~E社すべて業績が悪くなるような影響を受けてしまいました。
そのうちA社だけは農作物の輸入以外のビジネスもやっていたため、なんとか株価が上がることとなりました。
このように同じ種類のビジネスを行っている会社の業績は、同じようなアップダウンをする傾向があります。
そうすると例えば「貿易をしている会社」であれば、ものを運ぶための燃料費用が高くなれば、どの会社の業績にも悪影響を及ぼすことになります。
このジャンルのことを"セクター"と言ったりしますが、同じセクターの中で分散投資をしたとしても、リスクが低くなりにくい、ということになります。
このためセクターの分散として、違うセクターの株を買っておくことでリスクを低減させる効果が期待できます。
どんなセクターがあるの?
セクターの分け方は1つに決まっているわけではありません。
いろいろな分け方の考えがあるのですが、イメージをもってもらうためにTOPIX-17の一部の例を紹介します!
例えばTOPIX-17と呼ばれる株価指数があるのですが、ここでは17種類の業種に分けています。
いくつか例を挙げると次の通りです。
それぞれのセクターの中にはいろんな会社がありますが、株は景気や経済の動向によって、1つのセクター内の同じような値動きをすることがあります。
このため、1つのセクターの株だけでなく広く投資をしておくことで、よりリスク低減につながるというのが、セクターの分散となります。
株で考えてみる分散投資:地域の分散
他の分散の方法として、地域の分散があります。
これは日本だけでなく、アメリカ・ヨーロッパ等の国の株や、新興国の株などにも分散する方法になります。
地域で分散させる理由は、例えば
- 日本の株なら日本景気や政治の影響を受けやすい
- アメリカの株ならアメリカの株や政治の影響を受けやすい
というようなことがあるからです。
例えばもし今後日本の景気が低迷し続けたままで、他の国は経済成長で好景気になったとすると、日本の株だけをもっているより海外の株も持っていた方が株の上昇を見込みやすくなります。
ただし為替リスクがあることも考慮して投資をする必要があります。
分散投資:資産の分散
これまでは主に株を例に挙げて分散投資を説明してきました。
最後に資産の分散についてです。
ここで資産と言っているのは、株や債券、不動産、現金、金などの貴金属などがあげられます。
例えば株は景気が良いときに価格が上がりやすく、景気が悪いときに下がりやすい性質があります。
一方で債券は景気が良いときに価格が下がりやすく、景気が良いときに上がりやすい性質があります。
株だけに投資をしている場合は、景気が良いときには大きな利益を見込めますが、逆に景気が悪くなると大きな損を出してしまいます。
そこで、株だけではなく債券も買っておくことによって、景気が悪くなった時の損失を軽減する効果を期待できます。
このように値動きの異なる株や債券、不動産、現金、金などの貴金属などの資産に分散しておくことで、価格が大きく値下がりするリスクを低減できる、というものになります。
ここまでの分散投資のまとめ
まとめると、分散投資は簡単に言えば
★将来のことは誰にもわからないので、もし何か一つに賭けてそれが値下がりしたら大変だから、広く投資してリスクを下げようね!
という手法になります。
一方でこれまで見てきたように集中投資をした場合に比べると、分散投資で得られる利益は小さくなる傾向があります。
よく言われることですが、投資はリスクが大きいほど、期待できるリターン(利益)も大きくなるものです。
分散投資でリスクを小さくすれば、それに伴って期待できるリターン(利益)も小さくなる、ということですね。
これは悪いことではなく、分散投資をすれば適正なリスクをとって、それに見合ったリターンを得られるというのが大事なポイントです。
時間の分散について
分散投資の種類をいろいろ説明してきました。
これまでは「投資するもの=買うもの」の分散でしたが、時間の分散は「買い方⇒買うタイミング」の分散になります。
次のように株価が変わることを考えます。
この株を6万円分買うことを考えます。
一度に株を買う場合
最初は単純に、一度に6万円分の株を買う場合です。
次のタイミングで株を買ったとします。
このとき株価が300円の時に60,000円分の株を買いました。
そうすると60,000円÷300円 = 200株だけ買えることになります。
この株が350円の時に売ってしまったときは、売却額は350円×200 = 70,000円となります。
最初に投資した金額が60,000円ですから、70,000-60,000円 = 10,000円の利益が出たことになりますね。
何度かに分けて株を買う場合(時間分散)
今度は買うタイミングを分散させる(時間分散)場合を考えます。
次の5回のタイミングに分けて12,000円ずつ、合計60,000円分の株を買ったとします。
※1株単位で買えるとします。
- 最初は株価が200円⇒12,000円で60株買える
- 2回目は株価が250円⇒12,000円で48株買える
- 3回目は株価が300円⇒12,000円で40株買える
- 4回目は株価が250円⇒12,000円で48株買える
- 5回目は株価が200円⇒12,000円で60株買える
5回合計で、60+48+40+48+60 = 256株だけ購入できます。
この株が350円の時に売ってしまったときは、売却額は350円×256 = 89,600円となります。
最初に投資した金額が60,000円ですから、89,6000-60,000円 = 29,600円の利益が出たことになりますね。「
ポイントは
ポイント
- 買うタイミングを分散させたときには(時間分散させると)、株価が高いときも低いときも株を買う
- 全体としてみると株を買った値段は平均化されるので、株の購入金額を抑えられる ⇒ 株価が上がったときに利益が出やすくなる
未来の株価は誰にも予想できないものですが、時間分散させて株を購入すれば高値掴み(株価が高いときに株を買ってしまうこと)を避けられるのが重要ですね。
ちなみにこのように、購入金額を一定として定期的に投資商品を買う方法を"ドル・コスト平均法"といいます。
もっと詳しく知りたい!という方は、ドルコスト平均法について詳しく書いた記事をご参照ください!
-
ドルコスト平均法ってなに?メリット・デメリットを含めて詳しく解説!
続きを見る
けっきょく、分散投資はおすすめなの?
分散投資のメリットは投資のリスクを下げられることです。
一方デメリットとして、集中的に投資した場合に比べるとリターンが少なくなりがちということが挙げられます。
それでは分散投資はおすすめなのかというと、私は分散投資をおすすめします!
理由は投資金額が大きくなっていくと、大きなリスクをとることが難しくなっていくからです。
例えば10万円を投資して、うまくいけば15万円に増えて運が悪ければ5万円に減る、というのであれば、私も損しても大丈夫かもしれません。
最悪5万円失っても、働けばまた取り戻せると思えるからですね。
でも投資の金額が変わって、1000万円を投資して、うまくいけば1500万円に増えて運が悪ければ500万円に減る、だと耐えられません。
もし運悪く500万円の損を出してしまったら、その先私は投資を続けることができないと思います。
最初に株を始めるときは少額から始めても、これからの資産運用の時代にnisaやidecoなどで投資をすると、次第に大きな金額になります。
大きな金額になれば、大きなリスクをとって投資をするのはかなり心の負担にもなりますので、うまく分散投資をして自分にあったリスクで投資ができるのが重要だと思います。
ブログを読んでいただいている皆さんも、ご自身にあった投資の方法をぜひ検討してみてください。
分散投資はとても優秀な手法ですので、この記事を参考に考えてみていただけると嬉しいです。
まとめ
まとめるとポイントは次のようになります。
ポイント
- 分散投資には投資先を分散させるものと、投資のタイミングを分散させるものがある
- 投資先の分散には、銘柄・セクター・地域・資産分散がある
- 投資のタイミングを分散させると、株の高値づかみを避けられる
- 分散投資をすると投資のリスクを抑えられる。(期待されるリターンは低くなる)
分散投資について、具体的に解説をしてきました。
分散投資をするとどうしてリスクが下がるといわれるのか、イメージがなんとなくつけてもらえたら、とても嬉しいです。
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